すべての衆生を救うとされるありがたい仏様が、給田の住宅地にも。【給田千手観音堂】
今回ご紹介するのは、【給田千手観音堂】。
千歳烏山で仏教関連施設といえば寺町通り界隈が有名ですが、給田の住宅地の一角にもこんなお堂があります。
比較的小ぶりではありますが、なかなかに立派な佇まい。
正式には「玉川北百番北三十三ヶ所 廿四番普門院 千手観音堂」というようです。
ただ、敷地はそこそこの広さがあり、夏にはここで盆踊りなんかも開催されているようですが、ボクが行った時には人っ子一人いなくてとても閑散としていました。
ネットでちょっと調べてみたんですが、創設の由来や沿革などについての詳細は不明なようで、徳川家ゆかりの庵室だったとの伝承があるということくらいしか情報がほとんどありません。
はっきりとわかったのは、堂内に千手観音と昭和32年に近くの土中に埋まっていた釈迦如来坐像が安置されているらしい、ということだけ。
で、ふと思いました。
「そもそも、千手観音とは?」と。
改めて考えてみると、ボクなんか「手が1,000本ある仏像」という、知識ともいえない程度の認識がある程度です。
そこで今回は千手観音について少し調べてみましたので、そのレポートをお届けしましょう。
千手観音菩薩。
三十三の姿に変化して人々を救うとされる観音菩薩のうちの一つで、他にもいくつか呼び方があるようですが、「千手千眼(せんげん)観音」ともいわれるように、1,000本の手のすべての掌に一つずつ眼がついているそうです(さらには十一面、あるいは二十七面の仏像もあります)。
そして千手観音は、この膨大な数の手と眼、たくさんの顔で、あらゆる衆生を漏らさず救済してくださるというのですから、実にありがたい仏様ですね。
そしてこの名を聞いてボクが真っ先に思い出すのは、かの三十三間堂。
出典:https://commons.wikimedia.org
昔、修学旅行で初めて見たときには、その圧倒的な数に度肝を抜かれました。
だって、1,001尊あるんですよ。
千手観音像が。
ということは、そこにある「救いの手」は単純計算で1,000×1001=1,001,000手です!!
同様に眼も1,001,000個。
考えただけで、もう、気が遠くなりそうなありがたさですよね。
こちらは、ご本尊。
出典:https://commons.wikimedia.org
木造千手観音坐像 妙法院蔵 鎌倉時代 湛慶作。
国宝です。
十一面四十二臂像の典型作とのことですが、一般的な千手観音像はこのように十一面四十二臂(この〝臂〟というのは「八面六臂」の「臂」、つまり腕のこと)が多いんだそうです。
はて、千手観音なのになぜ腕が42本なのか。
それは、合掌する2本の手以外の40本それぞれが25の世界を救うから、25×40=1,000ということなんですね。
まあ、確かに手を千本も作るのはいろいろな意味で大変ですからねェ…と思ったら、実際に千本前後の手をもつ仏像も日本に3尊現存するそうです。
その一つが、こちら(写真左)。
出典:https://commons.wikimedia.org
奈良・唐招提寺の「木心乾漆千手観音立像」です。
像高535.7cm。
奈良時代末期の作。
大手42本の間に、小手がびっしりと植えられていて、制作当初は計1,000本の手を有していたと思われますが、残念ながら現在は大手42本、小手911本、計953本なのだそうです。
さてさて、非常にざっくりとではありますが、千手観音菩薩についての基礎知識をお届けしました。
こんな程度でも、実際に観音堂にお参りをする際には、知っているのといないのとではありがたさがそれなりに違ってくるかもしれませんので、特に給田にお住まいの皆さん、もし【給田千手観音堂】に立ち寄ることがありましたら、この記事をちょっと思い出していただけると嬉しいです。