【粕谷図書館】の「ご自由にお持ちください」を見て、図書館の電子書籍化についてちょっと考えてみた。
今回行ってきたのは、「粕谷区民センター」。
言わずと知れた、粕谷地区の世田谷区民の方々のための公共施設です。
ここには、図書館、会議室、音楽室、多目的ホール、大広間、和室などの設備の他、児童館も併設されていて、前庭では子どもたちが元気に遊んでいました。
おっと、入口にはカフェもあります。
「喫茶ピア」。
カフェというより喫茶店でしょうか、コーヒー300円とお手頃な価格。
この周辺にはあまり飲食店がないので、お食事もできるのはありがたいですね。
ただ、公共施設内なので、オーダーストップが16:30で17:00閉店。
昼間の利用に限られるようですのでご注意を。
ともあれ、今日の目的はここの地下にある図書館です。
建物の入口を入ってすぐの階段を降りていくと…
正面に大きな受付・返却カウンターがあり、地域の皆さんでとても賑わっている様子。
当日は土曜日ということもあり、学生さんやシニアさんなど、かなりの利用者がいました。
ここの本の分類は「日本十進分類法」というものに則っているらしいです。
これは、全国の図書館で広く採用されているもので、
分類記号に「0」から「9」のアラビア数字のみを用い、大まかな分類から細かい分類へと順次10ずつの項目に細分していく「十進分類法」の一つ。たとえば、「文学」は「9xx」→「日本文学」は「91x」→「(日本文学の)小説・物語」は「913」、というように下の桁ほど下位の細かい分類を表現する。by Wikipedia
…要するに、まあ、そういうことです。
全体の見取り図は、こちら。
ボクは烏山区民センターの図書館の方が馴染みがあるんですが、こちらもなかなかに充実していそうな感じ。
「徳冨蘆花コーナー」があったりするのも地域的な特色ですね。
個人的には、文庫本が充実している印象を持ちましたが…
絵本にも非常に力を入れている感じです。
絵本コーナーの奥の方には、小さいお子さん連れでも利用しやすいお座敷スペースもありました。
図書館の中の和室なんてボクははじめて見ましたが、よく考えられていますね。
そしてそして、本題はここから。
これ、凄くないですか?
受付・返却カウンターのそばにこういうラックがあって、どうも中にある本をもらっていいみたいなんです。
おそらくは処分品なのでしょう、「捨てるよりは欲しい人に…」という考え方が素晴らしい。
長い間図書館にあった本だと、よほどの希少本でもない限り今どき古本屋さんに持って行ったところで大した値はつかないと思われますし、公共施設としてのゴミの削減という観点からもこれは実に正しいやり方だと思います。
で。
この「ご自由にお持ちください」を見て、ボクはちょっと考えてみました。
「図書館の電子書籍化」について。
SF小説などでは、ずいぶん前から「図書・資料はすべてデータ化され、紙の本は高価な稀少品になる」という近未来像が描かれていますが、現実にこのところ電子書籍がそれなりに普及してきています。
となれば、その先に考えられるのは、図書館の完全電子書籍化。
これはもう時間の問題ではないでしょうか。
電子書籍なら、借りるのも返すのもめちゃくちゃ手軽。
365日24時間、どこにいても手軽に読みたい本を自分のデバイスにダウンロードできるわけですから、利用者にとってこんなに楽なことはありませんよね。
それに、忙しかったり病床にあったり身体が不自由だったりして図書館に行けない人も気軽に利用でき、さらには文字も自在に拡大可能、音声読み上げ機能もバッチリ、図書館側にとっても「返し忘れ」ゼロ、省スペース化、ゴミの削減、といいことづくめ。
公共サービスの一環としては積極的に導入するべきシステムだといえるのではないでしょうか。
でも、ですよ。
図書館の本というのはその地域に住民票のある人だったら無料で借りられるわけですよね。
そして電子書籍なら、紙の本と違って同時に何人だって借りることができる。
だとしたら、もう定価で本を購入する必要性なんて全然なくなってしまうではないですか。
作家も出版社も本屋さんも全滅です。
というか、そもそも作家が廃業に追い込まれたら新しい本が出なくなってしまいます。
う〜ん。
これは実にゆゆしき問題ですね。
マジでどうなってしまうのでしょう。。。
とても心配になってきたのでいろいろと調べてみたら、実際に全国の100近くの図書館ではすでに電子書籍の貸し出しが開始されていました。
そしてボクが心配するまでもなく、電子書籍も紙の本と同様に「1冊=1ライセンス」という扱いになっていて、つまり図書館が1ライセンスしか購入していない本は、同時に2人以上が借りることはできないシステムになっています。
一人が読み終わって返却(多分、ビデオレンタルのように手持ちのデバイスから自動でデータが消えるのではないかと思います)したら、次の人が借りられる、という仕組みですね(電子書籍がダウンロードされたデバイスごと貸してくれるところもありますが、この場合は持ち帰りNG。館内での利用のみとなっています)。
なので当然、人気のある本は順番待ちということになりますし、待ちきれない人は自費で購入することになるのは今と同じ。
とすると、まあ、その手軽さから今より図書館の利用者自体が増えるような気もしますが、行政の予算は限られているでしょうから、だからといって無闇に電子書籍を買い増すこともできないと思われ、本屋さんはともかく、作家や出版社の廃業に直結することはなさそうです。
だったら、ですよ。
逆にどんどん進めて欲しいなぁ、と思ったりしますよね。
図書館の完全電子書籍化。
もちろん、紙の本は紙の本でボクは大好きですし、特に「自分のお気に入りの作品は〝ブツ〟で所有したい」という志向ではあります。
そして何より、新刊本屋さんが苦境に立たされている現状を憂う一人でもあります。
でも、例えば雑誌とか、資料関係の本とか、「ちょっと読んでみようかな」くらいの本だったら、電子書籍の方が断然便利ですからね、要は本の形態も目的に応じて使い分けることが大切ではないかと思うんです。
まあ、理想ではありますが、電子書籍化によって読書が今より手軽になって全体的な読書人口が増え、分母が増えればその分「これは紙の本の方がいい」という人も増えて、結果新刊本屋さんも潤う…そんなふうになれば文句なしなんですけどね。。。
ともあれ、「じゃあ図書館の電子書籍化の現状と今後の見通しはどうなんだろう」と思ってまた調べてみると、これはこれでいろいろな問題をはらんでいるということがわかりました。
そもそも電子書籍は大学の要請から生まれたものらしく、それゆえ学術書が先行していて、図書館利用者の多くが求めている文芸書(小説など)の電子化は立ち後れているそうです。
加えて文芸作家が電子書籍化を嫌う傾向が強く、文芸作品の電子化はなかなか進まないのが現状だとのこと。
また、現在は電子化への移行期であることから、図書館としては紙の本とダブルで購入しなければならず、従来よりも費用が嵩むという問題も。
さらには、電子書籍の貸し出しシステムは、利用者側のデバイスのOSがそれなりに新しいものでないと対応しないため、サービスの公平性という観点からの課題もあります。
難しいんですね〜、いろいろと。
図書館の完全電子書籍化にはまだまだ時間がかかりそうです。
でもこういう技術的にはすでに確立されていることがらって、ある時何かのきっかけで一気に普及したりするような気もしますし、できるだけ早くその日が来ることを期待して待つことにしましょう。
ということで、最後におまけ情報です。
電子書籍の世界で加速度的に進化しているのが、コミック。
「第1巻は無料」というサイトはたくさんありますが、小学館がやっているこの「マンガワン」というサービスは1日あたりの制限はあるものの、少しずつ読み進めれば最終的に全巻無料で、けっこうメジャーな漫画が読めます。
アプリ内課金もありますが、ボクは今のところ課金なしで利用させてもらっているので、ありがたい。
皆さんも、よろしければお試しくださいね〜。
iPhone用アプリ
Android用アプリ