菊人形は、どうしてちょっと怖いのか。粕谷区民センター【徳冨蘆花菊人形展】

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はい、まずはこちらをご覧ください。

菊人形です。

 

もしかしたらお若い方はご存じないかもしれませんが、これは胴体を菊の花で彩った人形で、江戸の伝統文化の一つ。
有名なところでは、福島県の「二本松の菊人形」がありますよね。

 

上の写真は、「粕谷菊愛好会」さんによる【徳冨蘆花菊人形展】
粕谷は蘆花ゆかりの地ということで、毎年この時期に粕谷区民センターに展示されているようです。

 

一番右が徳冨蘆花。
真ん中が幼女の鶴子さん。
そして左端が愛子夫人。

 

まあ、似ているかどうかはともかく、芦花公園内に現存する邸宅らしきものを背景に、家族三人仲良く並んでいるのは微笑ましいといえなくもありませんが…

 

正直、なんか怖い。。。

 

いえ、この人形が特にということではなく、そもそも菊人形というもの自体が昔からちょっと怖いんですよ、ボク。

で、なぜ怖いんだろうといろいろ考えてみたんですが、たぶんあの「犬神家の一族」の影響ですね。

と思ってちょっと映画を見返してみたら、当時の特撮技術の精度のせいかぜんぜん怖くありませんでした。
「菊人形の顔が人の生首になっている」という設定なんですが、撮影に使っているのは人形の首で、それがあまりリアルではないものですから、つまりは「菊人形そのもの」って感じで…。
でも、当時はとっても怖かったんですよ〜、あの映画。
特撮のリアルさはともかく、市川崑監督独特のカット割りやライティングは今見ても秀逸ですから、気になる方はぜひ。

ともあれ、そもそも菊人形ってナニ?

 

と思いませんか?
ボクは改めて思ったので、ちょっと調べてみました。

 

時は江戸末期。
園芸ブームの中で生まれた菊人形は、菊の美しさやその題材を楽しむ大衆娯楽の一つとして定着していったそう。
当初は歌舞伎などをテーマにしていましたが、現在では大河ドラマが取り上げられることが多いようです。

 

驚くべきは、使う菊がただの菊ではないということ。
枝がフレキシブルで曲がりやすい「人形菊」という特殊な品種なんだそうです。
そしてその「人形菊」で人形の型を飾り付けていく「菊付け」は、熟練の「菊師」によってなされるとか。

 

なるほど。
これはいたずらに怖がっている場合じゃありませんね。
「菊師」の後継者不足が深刻なようですが、こうした伝統文化はぜひとも後生に受け継いでいって欲しいものです。

 

なんて思いつつ、蘆花たちの菊人形を見直してみると…

ちっとも怖くないですね。

 

どころか、少し寂しそうで哀愁さえ感じます。
これは、蘆花とその家族の人生に想いがいくからでしょうか。
よくご存じない方は、ぜひこの記事をご参照くださいね。

 

そういえば、人形って見方によって様々な表情を見せてくれるものですよね。
単なる無機物ではあるんですが、アングルや見る側の心持ち次第でかなり表情が違って見えたりもして…。

尚、この【徳冨蘆花菊人形展】は毎年恒例で、その年によって蘆花がメガネをかけていたり無精ひげを生やしていたり、ちょっとしたイメチェンをするみたいなので、今から来年の展示がちょっと楽しみです。

 

あっ。
今気づいたんですが、菊人形が怖いのは、あの知らないうちに髪の毛が少しずつ伸びるという「お菊人形」を想像してしまうからかもしれません。
こういう感じのやつ。。。


でも、それとこれとはぜんっぜん違うものなので、皆さんもどうかお間違えなく。
っていうか、そんな連想をするのはボクだけか(汗)…。

 

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