【烏山寺町お庭さんぽ#05~07】1文字違えばこの違い。ナムい三連星【妙高寺、妙揚寺、妙祐寺】
千歳烏山寺町には26の寺院がありますが、漢字一文字レベルではなく、読み仮名一文字レベルでしか違いのない、妙高寺、妙揚寺、妙祐寺さんという、黒…もとい、ナムい(南無い≒エモい)三連星的な縁起の良いお名前のお寺のお庭へ伺いました。
【基本情報:妙高寺】
山号:玄立山
寺号:妙高寺(みょうこうじ)
宗派:日蓮宗
創建時期:1625年(寛永2年)
移転時期:1926年(昭和2年)
旧所在地:浅草今戸
所在地:東京都世田谷区北烏山6-23-1
備考:天保の改革でお馴染みの老中、水野忠邦ゆかりのお寺!墓地分譲中!!
【基本情報:妙揚寺】
山号:自然山
寺号:妙揚寺(みょうようじ)
宗派:日蓮宗
創建時期:1614年(慶長19年)
※建立は1619年(元和5年)という記述も。
移転時期:1927年(昭和3年)
旧所在地:谷中天王寺
所在地:東京都世田谷区北烏山4-9-1
備考:烏山寺町で屈指のミニマムな敷地!
【基本情報:妙祐寺】
山号:天護山
寺号:妙祐寺 (みょうゆうじ)
宗派:浄土真宗本願寺派(西)
創建時期:1286年(弘安9年)
移転時期:1937年(昭和12年)
旧所在地:渋谷村宮益坂
所在地:東京都世田谷区北烏山4-16-1
備考:オフィシャルサイトが本格的!フリーダイヤルもあるよ!
ご覧の通り、4文字目がこ、よ、ゆの一文字しか違わない三山です。
僕が勝手に長男としたのは、烏山への移転が一番早かった妙高寺さん。
立地も寺町の玄関口ともいえる場所で、トンがってます。
歴史を紐解くと、時は徳川代十一代将軍、徳川家斉の時代にまで遡ります。
天保の改革を推進したことで知られる老中・水野忠邦と、その嫡子である水野忠精からがっつりサポートが入り、以後妙高寺は水野家の江戸における祈願所の役割を担うことになったそう。
水野忠精とその息子、忠弘をはじめ、日本画家の速水御舟、今村紫紅、小村雪岱、漆工家・蒔絵師の川之邊一朝などのお墓があるのですが、水野忠邦のお墓については茨城県結城市の田んぼの真ん中にあります。
それはさておき、妙高寺さんにはまだまだ特筆すべき点がありまして、まず、書院は旧有栖川宮邸から移築されています。
書院は桁高72尺(約22m)、梁行26尺(約8m)という広さで、10畳ほどの部屋が3室直線に配されており、昭和以前の建築だとのこと。
う〜ん、ぜひ見てみたい
なお、2010年に実施した改修工事により、ハイブリッドチタン葺きの屋根を持つようになったそう。
ハイブリッドチタンがどんなものなのかはちょっとわかりませんが、モミジが植わった渋いお庭と合わさると、どことなく温故知新な景観に感じます。
秋に紅葉が色づくと非常に美しい様相になりそう。
妙高寺さんの家紋は、ズバリ「日蓮宗橘(別名:平井筒に橘)」です。
次男の妙揚寺さんは、いぶし銀を地で行ってます。
山号だけは金色ですが、その他は味わい深い古木造りの山門。
そして、境内は手入れが行き届いた気持ちの良さを感じるこぢんまりと空間。
質素倹約を旨としているかのような佇まいですが、やはりというかなんというか、歴史的なエピソードをしれっと持っているところもまた渋い。
実はこちらのお寺は、豊臣秀吉の後継とされながら、突如自害を命じられた豊臣秀次の菩提を弔うために建てられたといいます。
秀次には暗愚な人物と評する声と、ひとかどの人物と評する声が真っ二つに分かれていて、非常にミステリアスで、実に興味深い人物といえるでしょう。
なにせ、秀次を巡るセンセーショナルなお家騒動は、遠く異国の地であるヨーロッパにも伝えられたといいます。
ここで触れるといつも以上に長くなってしまうので、ぜひ妙揚寺でwikiっていただければと思う次第です。
最後は、末っ子らしくWEBサイトが現代的な妙祐寺さん。
築地本願寺を思わせる古代インド様式の本堂が一際異彩を放っております。
この古代インド様式の本堂は千歳烏山に引っ越してきた後の1962年(昭和37年)に建立されたそう。
この本堂には、御本尊の阿弥陀如来が安置されているで、どうやら1625年に土中から発見されたというディステニーを感じさせるエピソードを有しています。
猫や野鳥とも出会えます。
元々は歴史の教科書の鎌倉時代あたりに出てきた一遍上人が建立したということで、時宗(じしゅう。久々に聞いた)だったのですが、紆余曲折を経た1625年、浄土真宗の僧侶であった了頓上人が土中から阿弥陀如来を発見したことを機に、浄土真宗のお寺として再建。さらに、了頓上人は、江戸幕府第八代将軍、暴れん坊将軍徳川吉宗の習字の師匠となったため、妙祐寺には吉宗公の墨絵などがあるそう。
50人以上入れる法要施設を完備していたり、広いお庭に青々と茂る草木があったりと、
まさに、長男と呼ぶにふさわしい佇まいのお山なんですが、僕のお勧めはこちら。
なんともジブリ感満載な車です。
この車には、残念ながらオフィシャルなご縁起はありません。
ですが、妙祐寺さんは宗旨宗派を問わない永代供養や、樹木葬を行っているという進歩的なお寺さんなので、この車にも何かしらのエピソードがあることでしょう。
墓石代わりに樹木を植える樹木葬は、33年安置で28万円ポッキリということで、ガチで終活の選択肢に入れようかと逡巡します。
お問い合わせはお早めに。
ちなみに、こちらの家紋は蟹梅というもので、スーパーレアらしいです。いや、ウルトラレアかも。
いやしかし、名前だけでなく、時の権力者に関係するという点も共通している三山。
千歳烏山寺町は奥が深い。