これぞ洒脱!千歳烏山の名店、ここにあり【我舎我舎(がやがや)】
約18年も前にもなりますが、千歳烏山に姉が住んでいました。
当時、私は19歳で板橋区で新聞配達をしながら予備校へ通う極貧予備校生。当時の姉は東京で勤め始めたばかりで、おそらく新卒1~2年目、そんなにお給料をたくさん貰っていたわけでもないだろうに、上京してきたばかりの弟に『ちゃんと食べてないだろうからたまにはいいものを食べなさい』と、このお店に連れていかれたのを憶えています。
我舎我舎 (がやがや)
千歳烏山で1984年から営業されているという、ビストロ風の洋食居酒屋。
誰にでも思い出深いお店というものがあると思いますが、私の中ではこのお店が『東京ではじめてのお洒落なお店』であり、姉に初めてご馳走になった&大人な雰囲気を感じたお店ということで、深く記憶に残っています。
以来、都内を転々とし、当時から数えて18年後、ひょんなことから千歳烏山に足繁く通うことになり、今回の訪問に至りました。月日は流れオッサンになった私は、ビールでも一杯飲んでいこうと、店内に入りカウンターに腰掛けます。
少し緊張しましたが、気さくな店員さんの案内を受け、一安心しながら着席。
ギネスをオーダーし、あいまいだった記憶を補完するように店内をキョロキョロ。
店内には『イパネマの娘』が流れており、落ち着いた雰囲気です。
カウンターのほかにサークル状のテーブル席。昔はあっちに座ったなぁと思い出しました。
「あぁ、やっぱり小洒落たお店だなぁ」と痛感したのがメニューを見てたとき。
メニューは全体的にフランス料理やイタリア料理の基調をもっているものの、”お腹にたまるもの”という括りがあり「ソース焼きそば」「ご飯セット」という表記がありました。
この飾らない感じに、なんとなく”本質”を感じてしまうのです。
一方では珍しいワインも取り揃えられており、ビールもサッポロ樽生、クラフトビール、ギネスドラフトが置いてあり、日本酒では「津軽じょっぱり」が置かれています。
はっきり言って(個人的に)完璧といって良い!
お店自体はビストロという雰囲気をしっかり持ちつつ”日本の居酒屋”といった点もしっかり捉えており、誰にだって嬉しいラインナップです。
これこそまさに”洒脱”!
飾らないけど、実際お洒落ってやつです。
ギネスを飲みながらとりあえずお通しを食べます。
「お通しのレベルが高ぇ、。」これは何なんだ?うまい、。
壁に掲げられたお勧めメニューから『キノコのアヒージョ』をオーダー。
ここでも驚くことになりました、少なくとも私がいままで食べてきた「アヒージョ」のなかでは一番美味しい!
「思い出バイアスがあるからなんじゃないの~?」と思われてしまうかもしれないし、自分でも思い出バイアス的な働きがあるのだろうかと感じましたが、それを差し引いても非常にレベルの高い料理でした。
だって、この写真見てください。画像だけでも分かるレベルの美味しさですよ。
店員さんが『アヒージョにこれ合いますよ』と薦めてくれたミニバゲットも秀逸。
この素晴らしさを誰かと共有したい!が一人で飲みに来てしまっているので、黙々と食べ、静かに感動していました。
続いて”東京ブルース”という名のクラフトビールをオーダー。キノコのアヒージョとクラフトビール。
美味い。それ以外に言葉がない。
飾ることなく、一流の料理、もてなしが揃えられている。
必要以上にかしこまるわけでもなく”丁寧”で”やさしい”ビストロ。
ギネス越しに見えるご主人と思しき方、長年、このお店の哲学を貫いてきたのだろう。
料理を真剣に調理しながら、時折、飲みに来た客に気さくに話しかけてくれる、品のある紳士だった。18年前、この方は壮年であり、私は青年であったのだ、としみじみ思うものがあった。
やはり、そうだった。
このお店は”素敵な店”だった。
なんだか感謝を感じる。久しぶりに姉に贈り物でも送ろうか。
千歳烏山の名店、ここにあり。